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ーヘルペス角膜炎
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帯状疱疹と眼科治療 〜早期対応と予防で、視力を守る〜
帯状疱疹とは 帯状疱疹は、水ぼうそうの原因である「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」が再活性化して起こる疾患です。 VZVは幼少期に水ぼうそうとして発症しますが、治ったあとは神経節に潜伏しています。 疲労やストレス、加齢などで免疫が低下すると、それらのウイルスが再活性化し神経に沿って皮膚へ移動することで、体の片側に痛みを伴う赤い発疹や水ぶくれが帯状に現れます。 帯状疱疹は50歳以上で発症が増加し、重症化すると神経痛や視力障害を残すこともあります。 目のまわりに出る帯状疱疹(眼部帯状疱疹) 顔の中でも「おでこ」「まぶた」「鼻の横〜先端」に症状が出る場合、三叉神経の第1枝にウイルスが再活性化した「眼部帯状疱疹」が疑われます。 発疹は左右どちらかだけに出るのが通常で、両側に出ることは少ないです。 中でも特に鼻部に発疹がある場合は、眼合併症を起こす可能性が高いため注意が必要です。 この場合、結膜炎・角膜炎・虹彩炎・視力低下などの合併症を引き起こすことがあり、放置すると失明につながるリスクもあります。 症例. 10代男性 抗ウイルス薬の眼軟膏と内服薬で軽快 眼部帯状疱疹で見られる症状 □ 顔やまぶたの片側だけに発疹・水ぶくれが出る □ まぶたの腫れ、痛み、赤み □ 目の充血、かすみ、しみる感じ □ 鼻の先にも発疹(ハッチンソン徴候) このような症状がある場合は、皮膚科だけでなく眼科の受診が必須です。 特に鼻先に発疹がある場合は、眼科合併症により失明する恐れがあるため、早期に眼科受診をお願いします。 また帯状疱疹は、帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう、PNH)という後遺症を残す場合もあります。これは神経がウイルスによって傷つけられてしまうために引き起こされ、帯状疱疹の皮膚症状が治ったあとに、「ピリピリする」「焼けるような」などと表現される痛みが続く状態です。 眼科での治療 帯状疱疹は、発症から72時間以内の治療開始がとても重要です。 早期治療により治療期間の短縮やPNHを発症するリスクも軽減できることが知られています。 主な治療内容 □ 抗ウイルス薬の眼軟膏や内服(アシクロビル、バラシクロビル) □ 角膜炎・虹彩炎に対する点眼治療 □ 炎症・眼圧のチェックと定期モニタリング 虹彩炎により眼圧が上昇し緑内障を発症することもあり、その場合は緑内障点眼による治療を行います。 なにより大切なことは早期に治療を行うことで、適切な治療を行えば後遺症や視力低下のリスクを軽減できます。 帯状疱疹の予防:シングリックス®ワクチン 帯状疱疹は、神経節に潜伏するウイルスの特質により、一度治っても再発することがあります。特に50歳以上の方は、予防ワクチンの接種が推奨されています。 ワクチンには弱毒化生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があり、当院では不活化ワクチンであるシングリックス®の予防接種が可能です。 💉 シングリックス®(不活化ワクチン) □ 発症予防効果:約97%(50歳以上) □ 帯状疱疹後神経痛:約88%軽減 □ 効果持続:約10年 □ 接種回数:2回接種(2か月間隔) □ 生ワクチンに比べて免疫が長く続く □ 副作用:注射部位の痛み・発熱などが一時的に出ることがあります 料金(税込) シングリックス®ワクチン 定期接種対象者 1回あたり11,000円(2回接種) ※ 定期接種対象者 ・令和7年度内に65、70、75、80、85、90、95、100歳になる方 ・60-64歳で免疫疾患(身体障害者手帳1級相当)の方 ※ 定期接種対象外の方は1回あたり22,000円となります。 ※ 接種は完全予約制です。ご予約はこちら ▶シングリックス®ワクチンを予約する まとめ 帯状疱疹は皮膚だけでなく、目にも深刻な合併症を起こす疾患です。発症した際は早期治療により、治療期間の短縮と合併症のリスクを軽減することができます。 また帯状疱疹はワクチン接種により、発症が予防できるため50歳以上の方はシングリックス®による予防接種をおすすめします。みどりアイクリニックでは、眼合併症の検査・治療とワクチン接種による再発予防の両方が可能です。大切な視力を守るために、眼の違和感などの症状があればぜひご相談ください。 ご予約・お問い合わせ 📞 お電話でのご相談:096-374-6666💬 LINE予約: ご予約はコチラ ▶ LINEで予約する🌿 WEB予約: ご予約はコチラ ▶ WEBで予約する みどりアイクリニック 眼科・美容皮膚科 熊本市西区春日3-15-26 アミュプラザ熊本5F ※眼科受診で駐車場1時間サービス
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ヘルペス角膜炎について
1.ヘルペス角膜炎とは 「ヘルペス角膜炎」は、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus:HSV-1)が角膜(黒目)に感染して炎症を起こす病気です。主にHSV-1(口唇ヘルペスの原因ウイルス)が原因で、風邪や発熱、ストレス、紫外線などの刺激をきっかけに再活性化し、角膜に症状を起こします。 角膜は光を取り込む「目の窓」でありますが、透明性が損なわれると視力低下や混濁を残す可能性があります。また、ヘルペス角膜炎は繰り返し再発することが特徴的で、再発のたびに角膜にダメージが蓄積し、視力障害につながる場合があります。 2. ヘルペスウイルスと帯状疱疹ウイルスの違い ヘルペス角膜炎を引き起こす「単純ヘルペスウイルス(HSV-1)」は、同じ“ヘルペスウイルス科”に属するウイルスですが、帯状疱疹ウイルス(Varicella Zoster Virus:VZV)とは別の種類です。 比較項目単純ヘルペスウイルス(HSV-1)帯状疱疹ウイルス(VZV)主な病気口唇ヘルペス・ヘルペス角膜炎水ぼうそう・帯状疱疹・帯状疱疹性角膜炎初感染時期幼少期に多い水ぼうそうとして発症潜伏部位三叉神経節など脊髄後根神経節・三叉神経節など再発要因ストレス、疲労、紫外線など免疫低下、高齢、病後など再発形式局所的・同一部位に再燃神経支配領域に沿って発疹・痛みが出現 両者ともに「神経に潜伏して再発する」という共通点がありますが、角膜炎の原因としては 単純ヘルペスウイルス(HSV-1)が中心であり、帯状疱疹ウイルスによる角膜炎は「帯状疱疹性角膜炎」として区別されます。 感染性角膜炎診療ガイドライン(第2版)-日眼会誌 117巻 6号より引用 帯状疱疹の場合は特徴的な皮疹と神経痛を伴うため、まず皮膚科を受診されることが多いです。 皮膚科にて軟膏や内服を処方された場合でも、角膜病変の精査は必要となるため、その後眼科を受診してください。 3. 主な症状 ヘルペス角膜炎の症状は、感染部位の深さや広がりによって異なりますが、代表的なものは次の通りです。 □ 目が痛い・異物感・ゴロゴロする □ 強いまぶしさ □ 充血 □ 涙が多くなる □ 視界がかすむ・視力低下 初期は軽い結膜炎のように見えることもありますが、角膜上皮に「樹枝状潰瘍(じゅしじょうかいよう)」と呼ばれる特徴的な傷が現れると、ヘルペス性の可能性が高くなります。 また、ステロイド点眼を自己判断で使用すると悪化する場合があるため、必ず眼科を受診してください。 4. 原因と再発のメカニズム 単純ヘルペスウイルスは初感染後、三叉神経節という神経の根元に潜伏します。普段は免疫によって抑えられていますが、以下のような状況で再活性化します。 □ 発熱・風邪 □ 強いストレスや睡眠不足 □ 紫外線暴露 □ 疾患や薬による免疫低下 再活性化したウイルスが神経を通って角膜へ移動し、再び炎症を起こすのです。再発を繰り返すと角膜実質や内皮が障害され、視力が回復しにくくなることもあります。 5. 診断と検査 当院では、以下の方法でヘルペス角膜炎を診断します。 □ 細隙灯顕微鏡検査:角膜上の傷の形や濁りを観察します。 □ 蛍光染色検査:フルオレセインという染色液で角膜上皮の損傷を可視化します。 □ ウイルス検査(必要時):涙液や角膜上皮からウイルスの存在を確認します。 症状や角膜の状態を総合的に判断し、他の角膜疾患(細菌性・真菌性など)との鑑別を行います。 6. 治療方法 治療の目的は、「ウイルスの増殖を抑え、角膜を保護する」ことです。 ◆ 上皮型ヘルペス角膜炎(表層型) □ 抗ウイルス薬の点眼・軟膏(アシクロビルなど) □ 必要に応じて抗ウイルス薬の内服を併用 ◆ 実質型・内皮型ヘルペス角膜炎(深部型) □ 抗ウイルス薬に加え、ステロイド点眼を慎重に併用 □ 炎症をコントロールしながら角膜の透明性を保つ □ 長期にわたり経過観察が必要 治療の途中で自己判断により点眼を中止すると、再発や後遺症につながる恐れがあります。必ず医師の指示に従って使用しましょう。 7.再発予防と日常生活の注意 ヘルペス角膜炎は再発を防ぐことがとても大切です。以下のような生活習慣が再発予防に役立ちます。 □ 十分な睡眠・栄養・休養をとる □ ストレスを溜めない □ 紫外線対策(UVカット眼鏡や帽子) □ コンタクトレンズを清潔に保ち、炎症時は使用を控える □ 医師の指示がない限りステロイド点眼を自己使用しない 再発を繰り返す方には、抗ウイルス薬の長期内服予防療法を行う場合もあります。 8.まとめ ヘルペス角膜炎は、単純ヘルペスウイルスによる角膜感染症であり、再発を繰り返すことで視力に影響を及ぼすことのある疾患です。帯状疱疹と同じ「ヘルペスウイルス科」ですが、原因ウイルスが異なるため治療法や経過も異なります。 みどりアイクリニックでは、結膜炎との鑑別からはじまり、病態に応じた最適な治療をご提供します。 再発を防ぐための生活指導や、治療後の定期的なフォローも行っています。 「目がしみる」「痛い」「治りにくい充血が続く」と感じたら、お早めの受診をおすすめします。 受診のご予約は ⇒ コチラをクリック LINEによるご予約は↓↓↓ みどりアイクリニック 眼科・美容皮膚科 熊本市西区春日3-15-26 アミュプラザ熊本5F TEL:096-374-6666
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